2023年4月16日日曜日

原因(目的)があって出来事は起きている


最近、小説を読む機会がめっきり少なくなりました。

読みたい本がないわけではありませんが、年を取り目の機能が衰えて来たので、小さな文字を追って行くのが大変になったのが主な理由です。


ところで、小説には山場(クライマックスシーン)があることが多いです。

全部読むのは大変なので、そこだけを拾い読みをしても意味はさっぱり分かりません。

もちろん、感動することもありません。



人生は、小説と同じような気がします。

果てしなく続く物語の1章として、この世を生きています。

ほぼ全ての人に、前の章(過去生)があります。

そして、次の章(来生)へと続いています。

章と章は、密接に関連していて、不可分です。



有名な民話に「鶴の恩返し」があります。

知らない人のために簡単にあらすじを書きます。

昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが暮らしていました。

ある日のこと、おじいさんが薪拾いに行くと、1羽の鶴が罠にかかっていました。

可哀想に思ったおじいさんは鶴を助けてやりました。

雪の降る晩に娘が現われ、泊めてほしいと言われたので、家に招き入れました。

その後も雪は降り続き、娘は泊めてもらう代わりに機織りをしたいと言い、覗かないように約束をして部屋にこもって織り始めました。

出来上がった布はとても美しく、高値で売れました。

どのようにして織っているのかを、おじいさんとおばあさんはどうしても知りたくなり、約束を破って部屋を覗いてしまいました。

娘は鶴の姿になって機を織っていました。

本当の姿を見られた娘は、2人の元から飛び去って行きました。


この物語のクライマックスは、鶴が機を織っている場面です。

もし、この物語が鶴が機を織っている場面から始まったのならどうでしょう?

何のことだか、意味がさっぱり分かりません。

混乱してしまいます。

鶴が機を織っていたのは、おじいさんに助けてもらったからです。

その場面が抜け落ちていたら、物語として成り立ちません。



ある日突然、何の前触れもなく出来事は起きます。

不運を嘆いたり、神を恨んでしまうこともあります。



宇宙の隅々まで、自然法則が働いています。

自然法則の根幹を為しているのが「因果律」です。

起きた出来事には、必ず原因(目的)があります。



出来事の原因がさっぱり分からない時、記憶に上って来ない過去に何かしらの原因があって、あるいは明確な目的があって、この人生で起きている可能性があります。

残念ながら、この世を生きている時に知るのは、極めて困難です。



私たちは、自分に足りない霊的な資質を身に付け、成長するために、この世に生まれて来ています。

スキーの滑り方は、どうやって覚えるのでしょうか?

本やインターネットで、滑り方を知ることができますが、それだけではだめです。

スキー場に行って、実際に滑って、体で覚えなければいけません。



霊的な資質を身に付けるのも同じです。

それ相応の出来事を、実際に体験しなければいけません。



転んでは立ち上がって滑ることを繰り返しながら、スキーは上手くなって行きます。

同じように、起きた出来事に悪戦苦闘しながら、それを乗り越えようとする過程において、霊的な資質が身に付いて行きます。



過去生で犯した過ちを償うために、苦痛を伴う体験をしなければいけない時もあるでしょう。

償いが終わりかけた時に、背いてしまった自然法則の働きを学んでいると考えられます。



人との出会いもそうです。

おじいさんとおばあさんの前に、偶然、娘が現れたのではありません。

その前に、鶴を助けていたからです。



過去に何かしらの原因(縁)があって、この世で出会うことになる人がいます。

親子や兄弟になったり、あるいは配偶者や恋人や親友になったり、時に敵対者になったりする場合もあるでしょう。

目的を果たすために、その関係が最適だったと考えられます。



肉親になれば、ほぼ確実に関わり合いを持つことになります。

血縁を超えた、深い部分での結びつきを自覚する人もいるでしょう。



しばらくしてから、因果律の働きにより、引き寄せられるようにして出会う人もいます。

出会った時、魂の記憶が呼び覚まされて、前に会ったような感覚が生じるかもしれません。

何か特別な意味を持っている人のように感じられるかもしれません。

過去の感情の余韻が残っている場合もあるでしょう。



シルバーバーチは、神の叡智の見事さに感嘆せずにはいられないと言っています。

学びや成長にとって、最適な人が、最適な形で、地上で出会います。

そして、最適な出来事が、最適なタイミングで起こります。

霊界から見るとその様子がはっきりと判り、神の計画の完璧さを感じずにはいられないのだと思います。



けれども、地上の人には、真逆に感じられる時もあります。

「最悪のタイミングで起きた」「1番起きて欲しくないことが起きた」あるいは「出会わなければ良かった」と嘆くことになるかもしれません。



シルバーバーチはこう言っています。

「あなた方もそのうち肉体の束縛から離れて、物質的な曇りのない目で地上で送った人生を振り返る時が来るでしょう。その時、その出来事の一つ一つがそれぞれに意味を持ち、魂の成長と可能性の開発にとって、それなりの教訓を持っていたことを知るはずです。」

そして「私がこれまで送ってきた霊界生活で、”自分は神の法則によって不当に扱われている不公平だ”と真剣に言える人を一人も知りません。」とも言っています。



過去を知れば、出来事の原因(目的)が判ります。

合点が行き、納得する人もいるでしょう。

しかし、地上の人には自我(エゴ)が存在しています。

「そんなはずはない」と容認できない人もいるでしょう。

成長を妨げてしまう無用な感情に振り回され、人生を台無しにしてしまうかもしれません。

「鶴の恩返し」ではありませんが、真相は知らない方が良いのだと思います。



偶然は存在しません。

生まれる前にも、出来事の原因が存在していることを、知っていれば良いのだと思います。





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