2025年3月16日日曜日

お役に立つ


今は亡き義母のお見舞いに行った時のことです。

衰弱してベッドから起き上がれなくなった義母が、天井を見つめながらしみじみとこう言ったのを覚えています。

「お役に立てなくなった」

地上を去る前、本当に大切なものが見えて来ます。

シルバーバーチの霊訓には「役に立つ」ことが大切だと繰り返し書かれていますが、義母のその一言で再確認しました。



十年位前になりますが、友人から連絡がありました。

知り合いの家族が、ヒーリングを希望しているとのことでした。

ご家族には2人のお子さんがいましたが、上の女の子には自閉症と精神発達遅滞の障がいがありました。

10才位でしたが3才位の知的レベルで会話は成立せず、お母さんにべったりくっついていました。



ヒーリングをする前に、お母さんと少し話をしました。

お母さんはある看護師さんから「(そのお子さんは)あなたを選んで生まれて来たのよ」と言われたそうです。

その言葉に反発して「生まれて来なくて良かった」と思ってしまったそうです。

それを聞いて私は驚きましたが、同時にこれまでいかに大変な思いをして育てて来たのかが少し分かったような気がしました。



NASA公開画像

私たちは、地上の環境を選んで生まれて来ています。

どのような人生を辿るのかも、予め分っています。

過去生において関わり合いがあり、今生で親子になる必要があったのかもしれません。

詳しいことは分かりませんが、学びと成長のために、今のお二人の関係があるのは確かです。



死んだ後に行く霊界こそ、本来の住処です。

肉体がなくなると、意識は自分から周りへと向かいます。

周りのために何か役に立てないかと、自然に思うようになります。




会社に入ると、プロジェクトを任されることがあります。

任されるプロジェクトは、個人のスキルに応じたものになります。

スキルが増すのに従い、難易度の高いプロジェクトを任されるようになります。

難易度が高くなるほど、成し遂げた時の喜びは大きくなります。

その喜びは、会社や社会のために役に立てたことに起因していると思います。



霊界では、役に立ちたいと想えば、その想いは叶えられます。

資質に見合った奉仕に携わることができ、それに喜びを感じます。

人間には、より深い喜びを味わいたいと言う欲求があります。

そのために、より次元の高い奉仕をしたいのですが、会社のプロジェクトと同じで、資質が伴っていなければ携わることはできません。



そこで地上に生まれることを志願します。

逃れられない運命と思っていた事象は、必要な資質を身に付けるために、因果律の働きによって起きているのかもしれません。

外からは苦難や凶事に見えるかもしれません。

誰もが避けたいような出来事を経験する人生を、承知して生まれて来ている可能性があります。



自分の時間を持つことを許さないお子さんに対し、生まれて来なければと思う時もあったかもしれません。

けれども、子供として生まれて来るべき存在だったことに気付く時が来るでしょう。

「自我を発達させる唯一の方法は自我を忘れることです。他人のことを思えば思うほど、自分が立派になります。」とシルバーバーチの霊訓には書かれています。

大変な苦労をして、自分を犠牲にして育てるのは、ご自身の魂を向上させることで完全に報われています。



一方、女の子は思うように自己表現できないハンディを背負って生きています。

そのため、苦しい思い、もどかしい思い、悔しい思いをすることも多いでしょう。

誰かに助けてもらわなければ、生活して行くのは困難です。



先になりますが、死によって肉体から解放され、自由に表現できる喜びを噛みしめる時が来ます。

苛酷な人生ですが、その分、魂は大きく向上しているでしょう。

人に助けてもらう経験が生涯に渡って積み重なることで、感謝の気持ちは極めて大きなものとなり、今度は誰かのために役に立ちたいという強い意志に変わると思います。

地上で不幸と言われる事象は、霊界でより高い次元の奉仕をして、喜びを感じるために起きていることがあります。

お二人はお互いのために役に立ちながら、経験しなければ決して得ることのできない大切な教訓を学んでいると思います。



女の子には妹さんがいますが、とてもしっかりとしていました。

お姉ちゃんに特別な愛着を感じているようで、妹になるのを決めて来たことが窺われました。

ご両親が亡くなった後も、寂しい思いをさせないように、寄り添って生きて行くと思います。(そんな兄弟姉妹が多いように感じられます。)



その日、女の子にヒーリングをすると穏やかな表情になりました。

お母さんにいくつかの霊的真理を話して、最後に「シルバーバーチの霊訓(1)」を渡して別れました。



しばらくして友人から連絡があり、お母さんの人柄が変わったように感じられたとのことでした。

癒しを必要としていたのは、お母さんだったのです。

霊的真理を受け入れる時期が来ていたのかもしれないと思うと、無性にうれしくなりました。



お役に立てることの中でも、必要としている人に霊的真理を伝えることは別格です。

人生を好転させることができるからです。

生まれて来た目的を成就させる方向に導くことができるからです。




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