連日のように、人里にクマが出没し、人が襲われるニュースが報道されています。
今年、日本でクマに襲われて命を落とした人の数は13名で、過去最高です。
生息地域周辺に住む人にとって生命に関わる問題であり、早急な対策が望まれます。
なぜ、クマが人の住んでいる地域にまで入って来るのでしょうか。
その大きな理由として、山でドングリなどの食糧が採れなくなったことが挙げられます。
通常、冬眠前のクマはたくさんの木の実を食べて、皮下脂肪を蓄えて丸々と太っていますが、ニュースの映像を見る限り、ほっそりとしていることからも、そのことが窺えます。
十分な皮下脂肪を蓄えないと、クマは冬眠に入れません。
冬眠に入れなければ、食糧の乏しい冬は越せません。
生命に関わる深刻な状況にクマも陥っています。
クマが狂暴になったと言われますが、果たしてそうでしょうか?
人間も空腹になると(血糖値が下がり)イライラしたり、怒りっぽくなります。
クマも同じだと思います。
寒い冬が迫って来て、焦りのようなものも感じているのかもしれません。
クマは警戒心が強く、臆病な動物です。
食べないと冬が越せないので、やむを得ず食糧のある人里まで降りて来ていると考えられます。
山にいると飢えて死んでしまい、人里に下りて餌を探すと撃ち殺されてしまう、どちらにしても過酷な運命が待っています。
何故、このような状況になってしまったのでしょうか?
木の実が採れなくなった原因は、気候変動にあると考えられます。
気候変動の大元に、地球温暖化があるのは間違いありません。
ドングリやナラなどの実は、一定間隔で豊凶作を繰り返していますが、気温が高くなると凶作が短い期間で起きると言われています。
特に、猛暑の年は花芽の発育が不良になり、翌年は凶作になるようです。
猛暑が続く限り、凶作も続くと考えられます。
地球温暖化は、人間が過剰に作り出している二酸化炭素によって起きています。
つまり、クマが人里に下りて来る大きな原因を作っているのは人間と言うことになります。
気温上昇のために北極圏の氷が溶け出して(過去40年で40%消失)、アザラシなどを捕食しているシロクマは移動できないために、飢餓状態に陥っています。
私たちが知らないだけで、たくさんの生き物たちが生命の危機に晒されています。
![]() |
| 痩せたシロクマ |
全ての生き物に神性が宿っています。
霊的に同じ価値があります。
けれども、多くの人間は自分たちが最も価値のある生き物だと思っています。
そのために、人間中心に考え、他の生き物にまで関心が及びません。
人間の行いの1つ1つに、自然法則が働いています。
傲慢で利己的な行いには、苦痛を伴う結果が返って来ます。
(ケガをした人や亡くなった人に非があるわけではありませんが)クマに襲われるのは人間の身勝手な行いが原因と考えられます。
人家に入ったクマを撃ち殺す銃声がニュースで流れて、心が痛くなりました。
もちろん自分の身を守る権利はありますが、人間の諸業の被害者であるはずのクマが、一方的に撃ち殺されている現実に矛盾を感じずにはいられません。
私も日常生活で、車に乗り、電気を使い、二酸化炭素を出しているので、責任の一端があります。
非現実的かもしれませんが、人間とクマの命を守るための対策を、私なりに考えてみました。
〈短期的対策〉
・クマの食糧となるものを屋外に置かない。(柿や栗などの実も早期に収穫)
・無用な接触を避ける。(生息地域周辺の登山やハイキングなどの自粛)
〈中期的対策〉
・人里に現れたクマを射殺するのではなく、麻酔銃(吹き矢)で捕獲して、人間が恐い存在であることを自覚させて、位置情報が得られる発信器を装着して山に帰す「キャッチ&リリース」を繰り返す。(都道府県単位でクマGメンを組織してこの業務に当たらせる。)
・「クマアプリ」を開発し、一定範囲内にクマが近づいて来たらスマホに通知するようにする。
〈長期的対策〉
・放置されている人工林(スギ・ヒノキ)を間伐し、ブナなどの広葉樹を植えて、実り豊かな森林にする。
⦿学校の授業の一コマに「地球を考える(仮称)」を組込み、その中で野生動物との共生について考える。
その中で、自我(エゴ)がまだ発達していない子供たちに、こんな霊的真理が伝えられれば、どんなにか良いでしょう。
「愛が愛として本来の威力を発揮するようになれば、すべての創造物が仲良く暮らせるようになります。地球という生活環境を毒し問題を発生させる不協和音と混沌のタネを蒔くのは、人間という破壊主義者、人間という殺し屋です。すべての問題は人間が拵えているのです。神が悪いのではありません。動物が悪いのでもありません。人間が自由意志の行使を誤り、勝手に優越性を誇ったためです。」
子供たちに分かりやすく書くとこうなります。
「みんなの心の中にある「愛」がちゃんと働くようになれば、この世界の生きものは、みんな仲よくくらせるようになります。でもね、人間は地球をよごしたり、あらそったりしています。神さまが悪いわけでも、動物たちが悪いわけでもありません。人間が「ぼくたちが一番えらいんだ」と勘違いをして、好き勝手にしてしまったから、いろんな問題が起きているのです。」
「人間が悪いのに、クマを殺しても良いの?」と子供たちに問いかけたらどうでしょう?
「だめ!」と多くの子供は答えるでしょう。
「動物たちを助けるためにはどうすれば良いの?」と投げかければ、おのずと地球温暖化に関心が向くと思います。
そこで、二酸化炭素を減らすために、社会でするべきこと、自分にできることを、みんなで話し合います。
答えが出たら、今日から実行に移してもらいます。
同じような問題が世界中で起きています。
日本だけでなく世界中の学校で、今起きている問題を通して、地球温暖化について話し合います。
同じ想いを、世界中の子供たちに共有してもらいます。
![]() |
| 射殺された母クマの乳を吸う赤ちゃんクマ(日本熊森協会HPより) |
「クマを駆除する」
山にいて平和的に共存していたクマを、人里に下りて来なければならない状況を作った人間に、そんな権利があるのでしょうか。
その場しのぎで、人間のことしか考えない、エゴの強くなった人たちにいくら言っても無駄なような気がします。
動物たちの窮状と、なぜこうなったのかを教えれば、子供たちの良心に響いて、真剣に考えてくれるでしょう。
子供たち一人ひとりの意識が、人間だけでなく動物たち、そして地球全体に向かうことで、世界は確実に変わって行きます。


