2010年2月18日木曜日

苦しみの始まり



シルバーバーチの霊訓を読み始めてすぐに、1通の封書が届きました。

行政から指導を通告するもので、内容は私の医院の健康保険請求に関して疑義が発生したので、指導を行いたいということでした。

私は医療従事者ですので、行政(厚労省)の許認可のもと仕事をしています。

医療従事者にとって、(個別)指導を受けるということは不名誉なことであり、また相当な重圧を感じる出来事です。

その重圧に耐えきれず、自殺者が出るほどです。

しかし、やましいことは何もしていないという気持ちが私にはありましたので、軽く注意を受けて終わるのではないかと考えていました。

そんな、安易な考えは一変しました。

指導を受けるにあたって、カルテや業務にかかわる書類等の整理を始めましたが、あまりの不備の多さに愕然としました。

また、不正な請求にあたる事項もたくさん見つかり、それが発覚すれば非常にまずい事態になる事が予想されました。

不正な箇所を見つけるたびに、強い後悔の念と、発覚した時の恐怖を感じながら、連日夜中まで準備作業に追われました。

何とかうまく乗り切れないかと考え、いろいろな方から助言をもらいましたが、対処の仕方は2通りありました。

1つは矛盾点がないようにカルテや書類を直すこと、もうひとつはカルテをそのまま提出することです。

重い処分を免れるためには、直した方がいいことは分かっていましたが、不正発覚しないことを願いつつ、そのまま提出をすることにしました。

不正に不正を重ねる事は、どうしてもできなかったからです。

どうして、このような不正なことをしてしまったのか?

発覚したらどうしよう?

仕事をしていても、休みの日でも、そのことばかりを考えてしまいます。

もし、不正が発覚し、悪質度が高いと判断されたなら、保険医の取り消し処分が下されます。

保険医の取り消し処分を受けると、一般的には経営が立ち行かなくなり、廃業に追い込まれることが多いです。

それが現実になったら、生活は一変することは目に見えています。

まさかそんなことは起こるはずがないと思いました。

しかし、何をしても最悪の事態が頭から離れることはなく、精神的につらい日々が続きました。

そして、指導の日がやってきました。

どうか無難に乗り越えて、安心して過ごせる日々に早く戻りたい、そう願って向かいました。

部屋に通されると、指導を受けると言うよりも、これから裁判を受ける重苦しい心境になっていきました。

自分がした過ちを、公の場で裁かれるという、今までに経験したことのない惨めさを感じました。

担当者から聞かれたことに対しては、良心に従い、ありのままを話しましたが、数時間後、疑義がさらに深まったということで、指導が中断となりました。

ただならぬ雰囲気に、非常に状況が悪いことがわかりました。

辛い日々が今日で終わると思っていましたので、茫然としました。

数ヵ月後、2回目の指導が行われましたが、不正な事を次々に追求され、精神的に追い込まれていきました。

ごまかしたい、取り繕いたい、逃れたい衝動を抑え、ありのままを話しましたが、疑義がさらに深まり指導が中止されました。

1段階進んだ監査に移行することが、現実味を帯びてきました。

監査になれば、患者さん、従業員から事情聴取により証拠固めが行われ、不正が決定的なものとなり、最も重い処分が下される可能性が極めて高くなります。

これからどうなってしまうのだろうと恐怖を覚えましたが、一方では、ありのままを話したので、情状酌量され厳重注意に留まるだろうという楽観的な考えもありました。





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