2014年2月14日金曜日

ガンが嫌いなもの



母校から大学を紹介する小冊子が届きました。巻頭の特集に、今から20年ほど前に、病院の外来で良くお見かけした、ある先生のことが書かれていました。

その先生とは話をしたこともないのですが、活き活きと仕事をされていた若き日の姿が、心に残っていました。

タイトルは、「命のケア」~何かをすることではなく、そばにいることが大切~でした。

その内容についてですが、先生は「人が生まれてくるときに産科医が迎えるのならば、看取りのときにも医者がいてもいいのでは」と考えられていたそうです。

外科医だった先生は、日本に緩和ケアが現在ほど認知されていなかった90年頃から、「痛みをコントロールして、残された時間を患者さんが生きたいように支えてあげられる医療を」を目標に、こころとからだを支える医療を実践されてきました。

大学を卒業し、外科医になった先生は、術後、ガンが再発した患者さんと接する機会も多く、ガンの痛みに耐え、薬の副作用に苦しみ、やがて逝く患者さんを看とることになります。

そんな日々の中で、イギリスのホスピス医が書いた「末期癌患者の診療マニュアル」という本に、導かれるように出合いました。

本に書いてあるとおりにモルヒネを使用すると患者さんの痛みが嘘のように軽くなり、懸念した副作用もなく、自分がもとめていた、こころとからだを支える医療は、がんの痛みを癒す緩和ケアなのだと、この時気付いたそうです。

アルバイトをして渡航費を捻出し、イギリスの地で本場の緩和ケアを見聞してこられましたが、中にバーがあって、患者さんも職員も一緒にお酒を飲む。ペットもOK。

その一方で末期の肺がん患者がたばこを吸っている、常識を超えた自由さに驚いたそうです。

“治す医療”の概念からかけ離れた世界が新鮮であり、「何かをすることではなく、そばにいること」、緩和ケアにとって1番大切なものがそこにあったそうです。

帰国後、大学内に緩和ケアチームを立ち上げましたが、「医者は治すのが仕事。治さないのは医者の敗北を認めるようなもの」と言う、反対の声も少なくなかったそうです。

それでも、ご自身の信念に従い、現在まで、多くのがん患者さんと向き合ってこられました。


担当した患者さんの中に、乳がんが再発し余命3ヶ月と診断された女性がいて、婚約者がいたそうです。

ある日、婚約者から「結婚式ができないか」と相談を受けました。

式から3ヶ月だけの結婚生活、それをやる意義があるのだろうかと思ったそうです。

ところが、式の準備を始めてから病状は見る見る好転し、病院の最上階で挙げた結婚式の当日も痛みを全く見せなかったそうです。

全身の骨に転移したがんは、彼女の希望に応えるように進行しないでいるかのようだったそうです。

「手術や薬だけが病状を好転させるわけでない。患者さんの気持ちに寄り添い、望みを叶え、精神的に支えることの大切さ。それは患者さんに教えられた、緩和ケアの原動力です」と、言われています。

今でこそ、緩和ケアは当たり前となりましたが、20数年前には認知されておらず、私も先生を初めて見た時には、恥ずかしながら、メスを持たない変わった外科医だと、思ってしまいました。

当初から、痛みのケアだけでなく、全人的なケアをされていて、現在も第一線で活躍されているのを知り、尊敬の念とともに、勇気をもらった気がしました。

ところで、23歳の乳ガンの女性は、ドラマのような話ですが、深い意味があるように感じられました。

男の私には良く分かりませんが、女性にとって、ウェディングドレスを着て、周りの人に祝福されながら、結婚式を挙げることは、人生で最高の喜びなのかもしれません。

私も、時々結婚式に参列しますが、新婦の輝く笑顔を見ると、何か特別なものを感じます。

先生が言われてるように、この女性も、愛する人との結婚という、大きな夢と希望があったため、式の日までガンの進行が止まっていたのかもしれません。

私は、ガンは心、そして魂と密接に関係した病であると考えています。

さらに言うと、ガンは魂のありさまが肉体上に顕れたものであり、平和、協調、調和を欠いた魂のありさまがが、(平和、協調、調和を欠く)ガンとして肉体上に顕れたものと考えています。

怒りや嫉妬、虚栄心、貪欲など摂理に反した想いや、深い悲しみや失望などが蓄積していくことにより、魂のありさまが変わってしまうことが、霊的次元でのガン発症の原因ではないかと考えています。

また、恐怖心や不安感を抱くことは、生命力(自然治癒力)の流入が妨げられ、本来持っている免疫力が発揮されず、ガンの増殖を許してしまいます。

そして、からだの平和を乱しているガンが最も嫌うものは、心の平和であり、喜びや希望、そして愛の想いだと考えています。

また、喜びや希望、愛の想いは、恐怖心や不安感を追い払い、十分な生命(治癒)力を、受け取ることにつながると思います。

私は、喜びや希望、愛の想いは、ガン細胞の性質(性格)と相容れぬものであるため、ガン細胞を増殖させる力が絶たれて活性を失わせ、反対に、怒りや嫉妬、悲しみ、虚栄心、貪欲などの陰湿な想いは、ガン細胞の性質(性格)と似かよっているため、増殖する力が与えられて、活性化するのではないかと思っています。

この女性も、結婚という大きな希望と喜びの想いが、からだの細胞の隅々まで行き渡り、全身に転移したガン細胞の勢いを止めていたと考えています。

また、愛する想いにより、恐怖心や不安感は追い払われ、十分な生命(治癒)力が流れ込んだために、ガンの増殖は抑えられ、痛みを感じずにいたのだと思います。

ガンは肉体の病であるとともに、心や魂の病であると思います。

肉体は魂の表現媒体であり、魂が肉体の上位にあります。

ガンも肉体の一部であるため、魂に従うはずです。

魂が癒されれば、肉体の病気も癒されます。

心を穏やかに保てば、肉体も追従して穏やかになり、ガンも鎮まっていくと考えられます。

まず、心穏やかに生活することが大切です。

結婚のような大きな喜びはめったにありませんから、日常の小さなことに喜びを見出し、家族、友人、周囲の人と楽しく過ごし、時に感謝の気持ちを言葉にして、ペットをかわいがり、自然と触れ合うとともに慈しみ、人を愛し、そして許し、ありのままを受け入れることで、魂は平穏となり、ガンの勢いは失われていくように思えてなりません。

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