人間が生きて行く上で「愛」は必要か?
答えは人それぞれです。
神聖ローマ帝国である実験が行われました。
時の権力者であったフリードリヒ2世は、「生まれつきの言語は何なのか?」という疑問を持ちました。
その答えを出すために、家来に生まれたばかりの50人の赤ちゃんを集めさせ、乳母たちに以下の条件で育てるように命じたそうです。
赤ちゃんの目を見てはいけない、笑いかけてはいけない、話しかけてはいけない、接するのはミルクを与える時、お風呂に入れる時、オムツを取り替える時のみとする。
出典は定かではありませんが、3才までに49人の赤ちゃんが、残りの1人も6才までに亡くなったと伝えられています。
ルーマニアのチャウチェスク政権(1965~1989年)下でも同じようなことが起こりました。
誤った国策によって、多くの赤ちゃんが捨てられました。
捨てられた赤ちゃんは孤児院に引き取られましたが、職員の数が極端に不足していたため、食事やおむつの交換などの最低限のことしかできなかったそうです。
そんな環境で育った多くの子供たちに、知能低下や情緒障害、自閉症に似た症状が見られました。
先日、市が主催する3歳時歯科検診に行って来ました。
多くの子供は虫歯のない綺麗な歯並びをしていますが、中にはほとんどの歯が虫歯になっている子供がいます。
親が子供のことに関心がない、いわゆるネグレクトが疑われます。
そんな子供たちは他の子供たちに比べて、感情表現に乏しいように感じられます。
現代社会においても、十分な愛情を受けられない子供たちは少なからずいると思われます。
生まれてしばらくの間は、自分で生きることができません。
誰かに守り育ててもらわなければ死んでしまいます。(そのために赤ちゃんは愛くるしく創られていると思います)
守り育てるという行為は、愛情表現に他なりません。
0才から3才までの間に十分な愛情を受けていないと、愛着障害を起こす可能性が高くなると言われています。
将来、愛情を求め過ぎたり、依存したり、人を信じることができなくなったり、愛情表現が上手くできなくなることもあるようです。
また、感情のコントロールが難しくなったり、自己肯定感が低い傾向もあるようです。
それらの症状を改善するために、いくつかの心理学的アプローチがあります。
愛着療法は、過去の愛着パターンを理解して、現在の人間関係にどう影響しているのかを探り、セラピストとの安定した関係を通して、新たな愛着の関係を得るものです。
認知行動療法は、過去の愛情不足によって生じた否定的な自己認識や不安を修正するものです。
いづれも専門家の指導が必要となります。
チャウチェスク政権下で孤児院に入れられた子供たちの中で、早期に里親の元で暮らせるようになった子供たちには症状の明らかな改善が認められました。
適切な愛情を受けられるようになったからと考えられます。
食事と水さえあれば、肉体は生きて行けます。
けれども、精神的に健やかに成長して行くためには、愛が必要と考えられます。
理由もなく、怖れや不安が生じる人がいます。
そんな人は、記憶の空白期間である乳幼児期に十分な愛情を受けていないために、世の中に対する安心感が獲得されていない可能性があります。
もし、いたたまれなくなるほどの恐怖が生じているのであれば、虐待などを受けてトラウマになっている可能性があります。
今までに自分に起きた事象と、その時にどう想って、どう行動(表現)したかが、時系列的に魂(オーラ)に刻まれています。(死後に全人生を回想します)
乳幼児期に起きていた事象と、それにより生じていた想いが紐付けされています。
何かをきっかけにして顕在意識に上って来ると、得体の知れない怖れや不安として感じられることがあります。
具体的なやり方です。
まず、心の中にその時の自分を思い浮かべます。
写真があれば、その写真に写っている自分の瞳を見つめます。
その時の自分に向かって「つらかったね」「さみしかったね」「怖かったね」など、共感する言葉をかけます。
「私がいるから大丈夫だよ」「もう何も怖くないよ」など、安心させる言葉をかけて下さい。
そして「大好きだよ」「愛しているよ」と言いながら心の中で抱きしめてやって下さい。
何よりも大切なのは、愛おしむ想いを伝えることです。
学びのために、愛情を与えない親を選んでいる時もあるでしょう。
苦痛を味わうことで、過ちを償っている時もあるでしょう。
そのどちらでもなく、親の自由意志によって愛情が与えられなかった時もあります。
自分に非がないのに、苦しむ必要はありません。
神の公正は完全です。
閉じ込められた想いは、涙となって表現されて、解放できるはずです。
根気よく、少しずつ、傷ついている魂をご自分の愛で癒して下さい。
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