「魂は肉体の奥深くに埋もれているために、それを目覚めさせるにはよほどの体験を必要とします。」
これはシルバーバーチの霊訓の一節です。
今月、アメリカ合衆国の大統領候補であるトランプ氏が銃撃されました。
弾丸は右耳をかすめ、流血していました。
興味深かったのは、銃撃後の最初の演説でした。
それまでの険しい表情は影を潜めて、とても穏やかそうに見えました。
「これは、私に与えられた国を一つにまとめるチャンスだ」だと言って、準備されていた対立候補を批判する内容から、団結や協調を訴えるものに変更されました。
その様子を見て、九死に一生を得た体験によって、トランプ氏の魂が目覚めたのではないかと思いました。
「魂を目覚めさせるためのチャンスは地上の人間の一人ひとりに必ず訪れています。神は完全です。誰一人忘れ去られることも無視されることも見落とされることもありません。誰1人として自然法則の行使範囲からはみ出ることはありません。その法則の働きによって、1つ1つの魂に、目覚めのためのチャンスが用意されているのです。」と、シルバーバーチは言っています。
「神に護られた」と言っていましたが、間一髪で助かったのも、守護霊の働きかけがあったのかもしれません。
そのままでいて欲しかったのですが、その後の演説を聴くと、以前のトランプ氏に戻ってしまったようです。
「目覚めるまでに至らなかったとすれば、それは本人が悪いというべきではなく、せっかくのチャンスが活用されなかったと言わねばなりません。」と、シルバーバーチは続けて言っています。
目覚めかけていた魂は再びエゴに覆い隠され、チャンスを逃してしまったように感じられました。
地上の人間は、「肉体」「精神」「魂(霊)」の3者が一体となった存在です。
地上に生まれると、肉体と魂の間に精神(地上的な自我)が形成され、活動するようになります。
眠ると魂は霊界に赴きます。
肉体に代わって霊体で自己表現するようになり、霊体と魂の間に存在する精神(霊的な自我)によって活動するようになります。
普段の生活では地上的な自我が優位に働いていますが、いざ深刻な出来事が起きると状況は一変します。
俗に言う「魂が目覚めた」状態となり、それまで陰に隠れていた霊的な自我が前面に出て来ることがあります。
傍から見ている人にとって、別人になったように感じられますが、そうではありません。
眠っている時に自己表現している、本来の自分が表に出て来ただけです。
地上的な自我は、肉体と密接に結びついています。
そのために、自己保存的な欲求が強いです。
断崖絶壁の上に立つと怖くなるのは、地上的な自我の働きによるものです。
もし地上的な自我が存在しなければ、高所にいても全く怖さを感じないために、崖から落ちてしまう可能性があります。
お金が少なくなると心配になるのも、地上的な自我の働きによるものです。
地位があれば、生きて行く上で有利になるので、地上的な自我の欲求は満たされます。
地上的な自我は、肉体を守り、快適に生きるためになくてはならないものですが、その働きが強くなり過ぎると、生まれて来た目的を果たせなくなる可能性があります。
地上に生まれて来た目的は、自分(魂)を成長させるためです。
生れる前に立てられた人生計画に従って生きて、魂に内在している神性を発揮することにより成長して行きます。
地上的な自我の働きが強くなると、相対的に霊的な自我の働きは弱くなり、神性は発揮されにくくなります。
朝、目覚めると、霊的な自我から地上的な自我に切り替わり、今日の仕事の内容が頭の中に浮かんで来ることが多いです。
難しい仕事があったりすると、地上的な自我の働きがさらに強くなり、心配が生じる時があります。
シルバーバーチは「取り越し苦労」をしてはいけないと何度も言っています。
そうは言っても、地上は不完全な世界であり、思うように行かない時もあります。
あらゆる事態を考えておくのは必要です。
けれども、それに付随して負の感情を抱いてしまうと、守護霊をはじめとする霊界の存在からの援助を受け取りにくくなるので、気を付けなければいけません。
VV191 NASA公開画像より |
自然法則の働きによって、宇宙は経綸されています。
私たち(生命)は、法則の働きに従って、進化成長しています。
困難や障害を乗り越えようとする意志は、自然法則の働きに適っているので、成就させるための力が魂に流れ込みます。
その意志を、霊界にいる存在がキャッチすると、インスピレーションを送って支援します。
自分を信じることで、内在する神とつながりが強くなり、進んで行く力が湧き上がります。
勇気を出して、自分を信じて進んで行けば、2重3重の援助が得られるので、何とかなるのです。
大切なのは、霊界とのつながりを常に意識しつつ、強い意志を持つことです。
生れて来た目的を果たすために、感情に打ち克って、前に進んで行かなければならない時があります。
地上的な自我から生まれる「感情」よりも、霊的な自我から生まれる「意志」が優ります。
進もうとする意志を持つことで、感情に打ち克つことができます。
肉体を使って表現しないと何も始まらないのが地上です。
表現する意志を持つことが、生きて行くために求められます。
死んで霊界に行くと状況は一変します。
思念は直ちに具現化するために、地上のように(肉体で表現するための)意志は必要なくなります。
意志を持たなくても、生きて行くことができます。
私たちを生かしているのは、神的なエネルギーです。
そのエネルギーによって個々の生命は進化成長して行きます。
霊界は何もしなくても生きて行ける世界ですが、何もしなければ進化成長もしません。
進化成長しようとしないのは、神の意志に明らかに反しています。
そのことに気付いた魂は、因果律の働きによって、地上に生まれます。
何かをしなければ生きて行けない地上を生きることで、霊界で成長するために必要な意志を培っていると考えられます。
地上で意志を培うには、魂が目覚めた方が有利です。
どん底に突き落とされたり、危機的な状況に陥る経験により、魂が目覚めて、何をしたかったのか、何をしなければいけないのかに気付いて、自分の意志で生き始める人がいます。
地上では、霊的なものが全く見えなくなります。
経験することでしか、霊的に大切なものは見つけられません。
最も大切なのは、誰かのために何かをすることです。
誰かのために何かをしようとする意志を持つことは、地上に生まれて来た大きな目的の1つであり、その意志が培われることで、霊界で自律的に成長できるようになります。